ヒメツルソバ日記

明るい気持ちになった物事を綴ります

青い山を望む ④

(③からつづいています)


セザンヌは、故郷の山、サント・ヴィクトワールを生涯にわたって描き続けました。油彩で44点、水彩で43点もの作品があります。子どもだったセザンヌやゾラたちがアルク平原を駆け巡っていたときも、サント・ヴィクトワール山は、いつもそこにありました。1902年、ゾラの訃報を受け取ったセザンヌは、わだかまりがふっきれて号泣したそうです。


『アーティストの手紙』(マイケル・バード著、大坪健二訳、マール社)のなかに、セザンヌが若い画家であり、作家でもある、エミール・ベルナールに送った手紙が掲載されていました。1906年9月21日付です。


手紙の中でセザンヌは、いつも自然に倣って研究していること、ゆっくりと進歩しているように思えることを綴っています。また、ベルナールがそばにいるのが好きだったことも書かれています。孤独はいつも私の気を、少しばかり滅入らせるからだとありました。


「私は自然の研究を通して私たちが見たり感じたりする全てのものの論理的発展を信じ、私の注意を技術的な問題に向けます。というのは、技術的な問題は私たちにとって、自分が感じていることを一般の人々に感じてもらい、理解してもらうための簡単な手段に過ぎないからです。私たちが賞賛する偉大な巨匠たちは、まさにそれをしたに違いありません。」と結ばれています。


この手紙を書いてから、ほぼ1か月後、セザンヌはこの世を去りました。


写真を見て感動した、「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」の絵を見に行くことが夢になりました。