ヒメツルソバ日記

明るい気持ちになった物事を綴ります

インドの映画『きっと、うまくいく』を観て ①

この映画は、おすすめの映画として何人もの人がインターネットで紹介されていました。レンタルDVDのパッケージにも、全世界で大ヒットしたとあります。多くの人が観て(または読んで)よかったと勧めてくれている作品は、いつも、わたしも誰かに勧めたくなります。そんなことを思いながら、『きっと、うまくいく』のDVDを手に取りました。


『きっと、うまくいく』は、2013年に公開されています。監督・脚本は、ラージクマール・ヒラーニさん。ヒラーニ監督と、この映画の主人公を演じるアーミル・カーンさんは、2016年公開の『PK』でも監督と主演として名を連ねておられます。


『きっと、うまくいく』の舞台は、インドのICE工科大学。ICE工科大学には毎年40万通の願書が提出され、合格するのはそのうちの200人だけという超難関の理科系大学です。その大学の学長は、入学してきた学生たちの前でカッコウの生態の話をします。“カッコウは巣を持たず、ほかの鳥の巣に卵を産む。ヒナは誕生すると、真っ先に他の卵を巣から落とすのだ”と。これが自然の摂理であるのだから、学生たちの人生もカッコウと同じように競争に勝つか死なのだというのでした。


新入生のランチョー、ファラン、ラージューの三人は、学寮の部屋が一緒だったことがきっかけで親友になります。ファランは、息子をエンジニアにしたい父の期待を背負っていました。ラージューには、彼が養うべき家族が待っています。そして、ランチョーは機械が大好きです。ただ世の中の規則に常に挑戦していたので、学長の巣の異端児だったのです。


卒業を控えたある晩、大学の構内でランチョー、ファラン、ラージューの三人は酒を飲んでいました。ファランがランチョーに言います。お前は毎年、学長の隣で写真に納まっているけれど、自分とラージューはいつも最後列にいる。今度の卒業試験で落第したら、写真に入れないかもしれないと。“わかるか? 僕がなぜ一番か”。そう尋ねるランチョーの顔を、ファランはじっと見ました。ランチョーはファランの肩に手をあてて、機械が好きで、工学が自分の情熱なのだと答えます。“お前の情熱は?”。とファランに聞くなりランチョーは、ファランの制止するのもかまわずに、引き寄せた彼のリュックサックを開けて、逆さにし、底からこぼれ落ちた一通の封書を手に取りました。それは、ファランが5年前に書いた手紙でした。その宛先に書かれた人物のもとで、工学ではないものを学びたかったファランにランチョーは、自分が情熱を傾けられる仕事をするように勧めたのです。


(②につづきます)