ヒメツルソバ日記

明るい気持ちになった物事を綴ります

映画『レンタネコ』を観て ②

(①からつづいています)


小ぶりのリヤカーの荷台に、ネコがすっぽりはまるくらいの深さのある長方形のかごを2つ、隙間なく固定しています。どちらのかごも、畳表のような通気性がよくネコが触れても痛くない素材で、3つに仕切られ、囲われているのです。6匹のネコがそれぞれの小さな部屋に納まっていて、その頭上高くに大きめのパラソルを広げてあります。


その、ネコたちを乗せたリヤカーを引いてサヨコは、いつもの川べりの道を拡声器片手に歩いていくのです。ネコを借りたい人には審査があります。ネコを大切にしてくれそうか、その人の家を見に行くのです。大丈夫そうなら貸し出します。サヨコにとって家族のようなネコなので、たまに様子を見に行ったりもします。


低価格なレンタル料であるために、借主たちは一様にサヨコの生活の心配をしてくれますが、彼女には暮らしを立てていくための仕事が幾つかありました。そちらの方も、ネコたちと共同で営んでいたのです。お互いに助け合って暮らしているようでした。


サヨコの家は、昔ながらの木造家屋です。縁側から割と広めの庭に降りていけます。布団や洗濯物も楽々干せます。庭を囲むように、左右両側には木が繁っています。縁側の向こう正面には、ちょっとした家庭菜園があり、それらのプランターや植木鉢の背には、隣家の庭との境目である簡易な竹垣があるのです。


(③につづきます)