(①からつづいています)
ティムとメアリーは結婚することになります。コーンウォールでの結婚式当日は、どしゃ降りの雨。といっても、そこはティムの家族、屋外のテントで披露宴をしようというのです。強風のために傘もさせないので披露宴会場への移動も一苦労ですが、やっとたどり着いた会場は海風の当たる丘の上に設営されていました。ほどなくテント上部が破れ、溜まった雨水によって下にいた正装の出席者はびしょ濡れになり、テント本体も突風に舞い上がり飛んでいきます。みんなが屋内に避難する中、ウェディングケーキがその場に残されたようです。
ティムがメアリーに、“雨の日で後悔してる?”と尋ねます。“いいえ。ちっとも”メアリーがそう返すと、ティムは安心したようです。その様子を見たメアリーは笑ってティムに寄り添い、“私たちの人生も同じよ、いろんな天気があるわ。楽しんで”、最後の言葉を口にしながら彼女は、両手でつかんだティムの手を揺すりました。
ティムは父親からタイムトラベラーの先輩として、幸せになる秘訣を二つ教えてもらいます。ティムもまた自身で最後の秘訣を悟ったので、過去に戻る必要がなくなったのです。
ティムの母親が自分と同じ名前のメアリーに初めて会った日の会話の相槌を聞いて、言われてみれば本当にそうだなと納得しました。“あなたの欠点は何? 小さな弱点とか”。ティムの母親が質問します。メアリーはちょっと考えてから笑って、自信がないことだと言うと、母親は“かわいい”と返し、それから時々カッとなることをつけ加えたメアリーに、いいことだと肯定するのでした。
心に残ったのは、デズモンド叔父さんの言葉です。ティムの結婚式のスピーチで父親のジェームズが、自分の人生で愛した男は三人しかいないと前置きし、そのうちの一人目にデズモンドの名前を挙げてくれた日が人生最良の日で、ジェームズの余命が残り少ないと知らされた今日が人生最悪の日だと話したのです。
とてもたいせつなものほど日常の中に埋もれてしまうのはなぜなのでしょう? 夜眠る前に、自分の恵まれていることを意識しなおしたり、いつものように普通に働いた自分のことをほめてあげることは必要なのかもしれません。