今年(2023年)のある日曜日、遅めの夕食をすませ、流し台に洗い物を置いたまま、ぼんやりとテレビを観ていたものの、何らかのタイミングでそろそろ動かないとなあ……と思っていました。そんなときにテレビの画面から、夫婦仲が円満にいく秘訣として、「配偶者より、しあわせになってはいけない」、このような助言が聞こえてきました。
その話に引き込まれて、もう一度椅子に座り直してしまいました。番組は『日曜日の初耳学』で、その日は経済学者の成田悠輔さんが、一夜限りの授業という設定の中で、知人であるノーベル賞を受賞した学者の談話として、上記の言葉を紹介されていたのです。
すごいなあ、と思いました。たったこれだけの短い言葉の中に、多くの内容が集約されていたからです。テレビを観ていた大勢の方も、そのように感じたのではないでしょうか。
まず、「配偶者」は、夫からすると妻のことであり、妻からすると夫のことです。夫婦どちらもの観点に立っています。そのあと、「配偶者より」と続くので、相手に求めることではなくて、自分が行動する際の基準であるように感じられます。
また、「配偶者より」 の 「より」は、=(イコール)であってもいいのだと思います。ほどほどに同じくらいが理想ではないでしょうか。まずは、自分にとってもよくないと、続けていくことができません。たとえば、自分のしたいことがあるのなら、相手のしたいことにも理解を示しておくのが自然です。
それに、自分のやるべきことをやりながらも、目の前の相手のことを気軽に手伝ったりできる気持ちのゆとりのあることは、相手にとっても、なによりも自分にとって、しあわせなことだと思われます。
夫婦仲が円満にいく秘訣として、「配偶者より、しあわせになってはいけない」というアドバイスは、言葉に威力があります。なので、この言葉をゆるやかな口調で、夫と妻が互いに心に留めておくなら、ゆきすぎのない、ちょうどいい目安になってくれるように思います。
とにかく、しあわせは、自分がなろうとするからなれるものです。相手のことも気遣いながら、自分ものびのびとしあわせになるのがいいと思います。それに、笑顔や、感謝の気持ちは、まずは自分のことを明るくしてくれます。