(①からつづいています)
クラレンスが音楽教室のドアを開けると、生徒たちは思い思いのことをしていて、一向に関心を示しません。そこでクラレンスは、黒板を爪で真横にひっかきました。声がやんだので、彼女は、自己紹介したいので自分の席について、と言うのです。が、教室はもとの騒がしさに戻り、もう一度クラレンスも黒板を爪でひっかくのでした。このクラスは“バード・コース”と呼ばれてるの、鳥のようにスイスイと進級できるからよ、あんたは単位をくれればいいの、とクラレンスに真っ向から反抗する女子生徒、リタもいます。また、クラス全員で従順なふりをしてクラレンスにいたずらを仕掛けるのです。
心が折れたクラレンスでしたが、学校が学期末で閉鎖されることを知ります。校長たちの話を偶然立ち聞きしたからです。わたしたちで何とかしましょ。クラレンスは院長たちと再度、立ち上がるのでした。
校長が院長を呼びとめました。クラレンスの過去について聞かせてほしいというのです。院長はそれについては答えず、わたしの経験から言うと、彼女の好きにさせるのが一番、それが最善策です、と返しました。彼女は過激すぎる、校長がもらした言葉を院長が拾います。“過激”だなんて――わたしたちも昔はそう言われたわ。オマリー司教様を困らせたでしょ? 懐かしいな、校長がつぶやきます。彼女にチャンスを、院長の言葉に、校長は軽くうなずきました。同じ閉鎖への道でも彼女と歩いた方が楽しいわ、院長の本心でした。
(③につづきます)