お盆の前に、父のお墓まいりに行きました。お墓まいりをする前に、いつも思い出してうれしい気持ちになるのは、父はお墓にはいない、と思うからです。
今から17年前、2003年の8月下旬、朝日新聞の“天声人語”の欄で、一編の短い詩のことを紹介されていました。作者は、19世紀末に米国に渡った英国人であるとか、1930年代の米国人、また米国先住民の伝承など諸説あり、定かでないのでした。
英国では、アイルランド共和軍(IRA)のテロで亡くなった24歳の青年が、自分が死んだときに開封してくれるようにと両親に託した封筒の中に、その詩が残されていました。1995年、そのことをBBCが放送すると大きな反響があったのだといいます。
日本でも95年に、『あとに残された人へ 1000の風』(三五館)として出版されています。米国ではそれ以前にも、またその後も、葬儀や追悼の席で亡き人をしのんで、この詩を朗読されているのでした。
(②につづきます)