レンタルDVD店の棚では、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのすぐ右隣に『ホビット』シリーズが、こちらも3部作控えていました。2つの物語はつながっていたのです。『ホビット』シリーズは、(『ロード・オブ・ザ・リング』の最終作から9年後の)2012年から14年にかけて毎年1作品ずつ公開されました。『ホビット』のほうから『ロード・オブ・ザ・リング』のほうに物語が続いているのだということで、これはもう『ホビット』シリーズも観るしかないのでした。
物語は、ビルボ・バギンズがフロドに向けて、自身の冒険の旅を文章にして綴っていくところから始まります。
遠い昔のこと。はるか東方の地に、とても栄えた国々がありました。谷間の国、デイルにある評判の市場では酒や食料があふれていました。平和と繁栄に満ちていたのです。デイル国の前には、“はなれ山”(言いかえると“エレボール”)がそびえ、そこは山の下の王、スロールが統治するドワーフの王国でした。山の中に築かれた、伝説の美しい要塞都市です。国を潤したのは、地中の貴重な鉱石と、川のような黄金の金脈でした。ドワーフは、卓越した技術で美しい宝飾品を作ったのです。
やがて国王、スロールの異常な金への執着が王自身の心を蝕みます。その病んだ心が災いを呼び寄せました。北から火竜のスマウグが来たのです。その日、多くの命が奪われ、人間の住むデイルは焼き尽くされました。けれど、邪な竜が激しく欲していたのは黄金だったのです。竜は奪った宝を守るためにエレボールに留まりつづけ、そのためにドワーフは故郷を追われてしまったのです。
(②につづきます)