(①からつづいています)
山の王が帰還するとき、湖は炎に燃え上がる、という予言がありました。それに対してトーリンは、エレボールの奪回に成功したら、町の再建のために財宝を分けると、湖の町の民と約束していたのです。バルドは生き残った人々と、約束の費用をもらうためにエレボールを目指します。森のエルフの王もまた、軍隊を率いてエレボールにやって来ました。そこにある一族伝来の家宝、ラスガレンの白い石を取り返すためでした。
エレボールに戻ったトーリンは、財宝の魔力に蝕まれ始めます。人の命よりも、何よりも関心があるのは、宝の山を守り抜くことでした。思い余った戦士のドワーリンが、トーリンに、この虚ろな広間で王冠を戴いているが――中身は王とはほど遠い、と諫めたのです。怒ったトーリンは、ドワーリンを部屋から追い出し、一人で回想します。黄金に取り込まれていく自身を認識したトーリンは、被っていた王冠を放り投げたのです。正気にもどったトーリンは仲間と、エルフの軍と人間、くろがね山のドワーフの軍隊と共に、オークの軍団と戦うのでした。
戦いのさなか、これ以上自分たちの血を流したくない森のエルフの王は、撤退しようと兵を集めました。王に、近衛隊長のタウリエルが言います。今度こそ逃げてはなりません、と。ドワーフが殺されてしまうのだと訴えても、王は限りある命だと言うだけです。あなたには愛の欠片さえない。タウリエルの言葉に王は、愛の何が分かる? と問い返したのです。
(③につづきます)