2作目の『竜に奪われた王国』で、トーリンたちは湖の町の人々に送られ、エレボールに到着しました。そして城の裏手の、はるか高い場所にある秘密の入り口から城内に進入できたのです。けれど、竜に気づかれずにアーケン石を持ち出すことは無理でした。邪竜、スマウグは奪った財宝を守っていたからです。城の中で竜との対決が始まりました。
すべてが炎で終わるなら、竜もろとも燃え尽きよう、トーリンの考えた作戦でしたが、スマウグには歯が立たなかったのです。腹を立てた竜は疑いました。こんなことを考えたのは、トーリンたちドワーフと、湖の町の人々にちがいないと。湖の町には、かつて竜に焼き尽くされた国、デイルの子孫たちが暮らしていたのです。邪竜は復讐のために、城から外に出て、舞い上がり、湖の町を目指して飛んで行きます。僕らのせいだ。ビルボがつぶやきました。
ビルボは持っている指輪に影響されることはないのだろうか、と考えたりしながら最終作の『決戦のゆくえ』を観ることにしました。
エレボールから飛んで来た竜は、湖の町の上空から火を吐きました。町は至る所で燃え上がり、人々は逃げ惑います。その中で、バルドが竜退治に立ち上がりました。竜は鉄の鎧のような硬い鱗で覆われていて、突き刺せるのは大弓から放つ黒い矢だけでした。バルドは自身の先祖、デイルの領主であったギリオンの放った矢が、命中して竜の左胸の鱗を剥がしたことを知っていました。あと一矢あったら竜を仕留めることができたのです。竜を前にしてバルドが持っていた黒い矢は一本でした。バルドは息子のバインと協力して、竜の左胸に矢を命中させたのです。竜は湖に落下し、息絶えました。
(②につづきます)