ヒメツルソバ日記

明るい気持ちになった物事を綴ります

映画『グリーンブック』を観て ①

『グリーンブック』を観るまでには道のりがありました。まず、多くの人が観てよかったと言われている映画、『最高の人生の見つけ方』から始まりました。この作品は、2007年に公開されたアメリカ映画です。異なった環境で生きてきた二人の男性が、病室で互いの余命を知ることになり、ほどなく二人は、死ぬまでにやりたいことを書いたリストを持って、一緒に旅をすることになりました。


最高の人生の見つけ方』を観た余韻が、ずっと前にテレビで観た、『最強のふたり』の予告映像を思い出させてくれました。この物語は、2011年に公開されたフランス映画で、こちらも主人公は、生まれも育ちも異なる二人の男性でした。二人は、それぞれ望むように事が運んでいかない状況の中にいながらも、周囲のひとを思いやる気持ちを持っていました。


最強のふたり』を観たあとで思い出されたのが、『グリーンブック』でした。『最強のふたり』と同様に、以前、映画の予告編がテレビで放映されていたのです。


それによりますと、『グリーンブック』は、1962年、ニューヨークのカーネギーホールに住む、黒人天才ピアニストであるドクター•シャーリーが、がさつなイタリア系用心棒のトニー•リップを雇って、差別が色濃く残るアメリカ南部を、演奏して回ろうとする物語でした。この映画への道すじはできたものの、あれこれあって、その頃から二年近く経て、『グリーンブック』を観ました。


『グリーンブック』は、2018年に公開されたアメリカ映画です。タイトルの「グリーンブック」は、1936年から1966年まで毎年出版された、黒人の利用できる施設を記載する、旅行ガイドブックであるそうです。監督は、ピーター•ファレリーさん。トニー•リップをヴィゴ•モーテンセンさんが、ドクター•シャーリーをマハーシャラ•アリさんがそれぞれ演じています。また、この映画は実話に基づいていて、監督と共同して脚本を書いたニック•バレロンガさんは、トニーの実の息子さんです。


トニーは、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒として働いていました。ところが、そのクラブが改装のために休業することになり、その間無職になったトニーは、妻と二人の息子を養うために仕事を探し始めます。一方、ドクターは、南部への演奏ツアーのためにトニーを雇うことを、レコード会社から勧められていました。トニーは無学でしたが、腕っぷしが強く、周囲から信頼されていたのです。


面接時に、ドクターは、黒人と仕事することに抵抗はないかと尋ねました。トニーは、ないと即答したあと、この前も妻と二人でもてなしたところだとつけ加えました。実際のところは、家の台所に修理に来た、二人の黒人の男性にお茶を出し、玄関でお礼を言ったのは、トニーの妻のドロレスでした。それを見ていたトニーが、男性の使ったグラスを無言で、台所のゴミ箱に落下させたのです。食事の後かたづけのときに、それに気づいたドロレスは、夫の方を一べつし、頭を少し横に振ると、何も言わずにグラスをゴミ箱から救出したのです。


ドクターは、トニーの自宅に電話をかけ、仕事の依頼を本人にするだけでなく、トニーから妻に電話を代わってもらい、トニーが二か月も家を留守にすることを大丈夫かどうか確認しました。


演奏ツアー出発の日、レコード会社が手配してくれた車は、鮮やかなターコイズグリーンのキャデラックが二台でした。一台には、後ろのシートにドクターを乗せ、運転席に用心棒も兼ねたトニーが座り、もう一台には、チェリストのオレグとベーシストのジョージが乗り込みました。ドクターとオレグ、そしてジョージの三人は、“ドン•シャーリー•トリオ”として演奏するのでした。

 

トニーを見送るドロレスは、夫に毎日手紙をくれるように頼みました。めんどうがるトニーに彼女は、電話は高いから手紙にして、といって夫を納得させたのです。また、トニーの給料の半分は前払いで、残りの半分は、彼が逃げ出さないように後払いになっていました。トニーはドロレスに、前払いの分を渡して、ちゃんと預金しておくように言うのです。


(②につづきます)