ヒメツルソバ日記

明るい気持ちになった物事を綴ります

明るいほうへ冒険する その2

(その1からつづいています)


物語は、老夫婦、ノーマンとエセルが湖畔の別荘にやって来るところから始まります。そこに、娘のチェルシーが結婚相手のビルと、彼の連れ子である男の子ビリーと一緒に合流するのです。チェルシーにとっては、何年ぶりかの帰省でした。父、ノーマンとの間に未だに確執があったからです。チェルシーとビルが旅行に出かけている、しばらくの間、ノーマンとエセルはビリーを預かることになります。


一緒に鱒つりをすることで打ち解けてきたノーマンとビリーでしたが、ある出来事でノーマンは、自らの老いていくことへのやりきれない気持ちを、ビリーに向けて、きつい言葉で吐き出したのです。ショックを受け、夜の戸外に出たビリーのあとを、エセルが追いました。ノーマンが怒鳴ったのはあなたに対してではないのだと説明したエセルは、ビリーの顔を見て言います。「ビリー、うわべを見ただけで人は理解できないわ。ノーマンも精いっぱい生きているの。ままならぬ人生をね、あなたと同じ」。ビリーはエセルを見つめ返しました。


また、エセルが娘のチェルシーに語りかけた、「子供の頃の苦い思い出や心残りは、誰にだってあるものなのよ。人生をムダにしないで」という言葉がありました。


セツコさんも、『おちゃめな老後』(WAVE出版)の中に、「同じ出来事でも、嫌な面や不便なところを探そうと思ったらいくらだって見つかるけれど、そういう面ではなくて、明るいほう、美しいほうに意識を向けるんです」と書かれています。


たしかに、『不思議の国のアリス』みたいに冒険しているのだとすれば、思いどおりにならないことを苦しんでばかりはいられません。セツコさんのように、エセルのように、わたしも光の方を目指そうと思いました。