ヒメツルソバ日記

明るい気持ちになった物事を綴ります

映画『最強のふたり』を観て ②

(①からつづいています)


フィリップの現実も、ドリスの置かれた境遇も決して明るいものではないのに、二人のやりとりは笑えます。本当のことを喋っているようでいて、楽しく笑える話にしていくのです。笑えるって最強だと思いました。


フィリップがドリスに自分の介護人を辞めるように告げたのは、ドリスには彼にしかできない、やるべきことがあったからでした。


フィリップのもとで彼を乗せてあちこちに車を走らせていたドリスでしたが、フィリップの家を出たあと、手にしたお金でやっと運転免許を取得できたようです。


ほどなくイヴォンヌからドリスのもとに、フィリップの調子が良くないのだという連絡がありました。ドリスはフィリップが胸いっぱいに空気を吸うのを手伝います。そうして、海の見えるレストランの席に着くフィリップに向けて、ドリスは優しく手を振るのでした。


映画の最後には、作品のモデルとなったお二人の近況があり、彼らは深い絆で結ばれていました。


ラストシーンからエンディングロールにかけて流れてくるピアノの音が胸に染み入ってきます。その旋律が、それほど大きくない川の流れる音に聞こえてきて、「人生は大河に向かって流れる小川のようなものだ。我々は皆、同じ川に向かって流れている――」、そのような言葉が思い出されました。ピアノ曲は、Ludovico Einaudi (ルドヴィコ・エイナウディ)さんの「Una Mattina」(イタリア語で「ある朝」の意味)です。