ヒメツルソバ日記

明るい気持ちになった物事を綴ります

アニメーション映画『リメンバー・ミー』を観て ③

(②からつづいています)


藤木直人さんが声を担当している役柄は、ミゲルが死者の国で出会ったヘクターという名前のガイコツです。ガイコツ姿で藤木さんのさわやかな声は、似合っているとは言い難かったのですが、ヘクターが若くして命を落としたことを知ると、とても自然に感じられるようになりました。


死者の国でミゲルは、生まれて初めてステージに立ち、観客の前でギターを弾きながら歌います。ヘクターも一緒です。ミゲル役の石橋陽彩さんと、ヘクターの藤木さんの歌声は、豊かで澄んでいました。メキシコの物語でありながら、日本の国とも融合するようでした。


また、歌うシーンも、その他の会話の場面でも、一人ひとりの人が収録したものをまとめているのだと一瞬思ったとしても、会話も物語も流れるように進んでいくので、いつまでも考えている暇はありません。プロフェッショナルな方々の地道な努力の積み重ねなのだと思います。とても自然な流れでした。


ミゲルは死者の国に迷い込んだことで、大好きな音楽と大切な家族、どちらかを選ばなくてもよくなりました。そしてチャンスは、自分の心を失ってまで掴むものではありませんでした。


この映画の日本版ポスターには、“それは、時を越えて――家族をつなぐ、奇跡の歌。”という一文が添えられています。


亡くなった大切な人のことは、生きている大切な人と同じくらい大事にしたいと思うのです。