ヒメツルソバ日記

明るい気持ちになった物事を綴ります

草刈正雄さんに学ぶ ④

(③からつづいています)


草刈さんの初舞台は、1984年12月。3時間もの長丁場でした。そこそこの量の台詞を喋り、NGもカットもありません。その緊張感の中で何とかやりおおせたということに達成感や満足感があったのだといわれます。それまで嫌いだった稽古も舞台になると、1カ月間はみっちり稽古をする必要があります。そのような経験によって芝居についての勉強も自然に深まっていき、芝居を掘り下げていくことがとても楽しくなったのです。芝居の勉強をしたことがないというコンプレックスも薄れていき、いい意味での自信につながっていったのでした。また、新たな世界が開けたことも気持ちを明るくしてくれたとあります。


舞台用に生活を整えていくことは大変でもあるようです。体調はもちろん、常に膨大な量の台詞を覚えなければいけません。気の合う演出家ばかりではないので、長期間にわたって関わっていくのは苦痛なときもあります。厄介だなと思う作品も数々あったといいます。


そのような中でも草刈さんに常に揺るぎなくあったのは、“自分はこの道で絶対食っていくんだ”という決意でした。そして、いただいた仕事を謙虚に一つひとつ大事に演じていこうという気持ちがありました。

 

(⑤につづきます)