“一度や二度、踏まれたくらいであれば雑草も立ち上がってきます。しかし、何度も踏まれるような場所では、雑草は立ち上がってきません”。これは、『面白くて眠れなくなる植物学』(稲垣栄洋著・PHP研究所)の中にある記述です。
植物にとって最も大事なことは、花をつけて種子を残すことなので、踏まれる度に立ち上がることにエネルギーを使うよりも、踏まれながら花を咲かせて種子を残すことのほうが大切で、また合理的でもあると、稲垣さんは話されています。
実際に、踏まれやすいところに生えているタンポポは、茎を倒して花をつけていることがあります。これは、茎が踏まれて倒れたのではなく、葉っぱが踏まれた刺激を受けて茎を横に伸ばしたのです。こうして踏まれるダメージから逃れているのだとありました。
何度も踏まれるような場所に生える草花は、立ち上がることにエネルギーを使うのではなく、自分の一番大切なことに持てる力を注ぐというのです。ささいなことにこだわっていたら物事が前に進んでいかないのは、人も同じだなあと感じました。ときどき落ち込むわたしにとって、そのときには気持ちを立て直すことにエネルギーを使い切っているように思います。還暦を前にして、気持ちを立て直すことに大量のエネルギーを使わなくて済むにはどうしたらいいのか考えてみました。
まず足腰を、温めて、できるだけ鍛えようと思います。腰や膝などの具合が悪いと、心も体も動きづらくなるからです。あとは、他の人になろうとしないことが大切です。自分にできることを、感謝してやりつづけようと思います。カンペキを目指さないで、程よいことを大事にします。そして、あわてないで心の中を整理しよう。などと、考えました。大切なことにエネルギーをまわせるようにやってみます。