ヒメツルソバ日記

明るい気持ちになった物事を綴ります

『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』を観て④

(③からつづいています)


旅を終えたムーア監督が、ドイツのベルリンの壁で、友人のロッドさんと落ち合いました。1989年11月、ベルリンに旅行中のムーア監督は、ベルリンの壁をノミで叩いていることを聞きます。時間があったので行ってみました。まだ人数も多くなかったといいます。ムーア監督自身もノミをふるうことになり、ふと見上げると、壁の上でロッドさんが踊っていたというのです。


冷戦を見て育ったムーア監督たちにとって、ベルリンの壁の崩壊はありえないことでした。永遠に立つ障壁だと思っていたのに、30年ももたず、一夜で崩れたのです(ムーア監督より8歳年下のわたしにしても同じ気持ちでした)。同じ頃、ネルソン・マンデラ氏が監獄から釈放され、南アフリカ共和国の大統領になりました。“解決は難しいと言うけど、答えはシンプルだ”、ロッドさんの言葉です。


ノルウェーにある凶悪犯罪者用の施設、ハルデン厳重警備刑務所。2010年に、この施設がオープンしたとき、看守たちが新しい受刑者のために指導ビデオを作ったそうです。そのビデオは、施設の全景を空から眺め、建物の中からは看守たちが歌いながら出迎えてくれるのです。曲は、(1985年1月末に収録された、 USA for Africa の代表作である)『ウィ・アー・ザ・ワールド』(作詞・作曲:マイケル・ジャクソンライオネル・リッチー)。その歌声と訳詞が胸に残ります。


一人ひとりの人間が歴史に学び、わたしたちがしあわせになることをあきらめてはいけないんだと感じました。


この映画を作るためにムーア監督は、途轍もないエネルギーが必要であったのだろうと想像します。