ヒメツルソバ日記

明るい気持ちになった物事を綴ります

『ホビット 竜に奪われた王国』を観て③

(②からつづいています)


今回の『竜に奪われた王国』にも機転、礼節、そして愛嬌、この言葉が思い出される場面がありました。バーリンが人間の船頭、バルドに湖を渡るために、船に乗せてもらえるように交渉するところです。礼をもって相手に話しかけ、自分たちの要望を伝え、それに対する報酬をつけ加えました。なぜ俺が助けると? バルドが問うと、バーリンは返しました。靴はボロボロ、上着もじゃ。養う家族もおろう、と。子供は何人? 今度はバーリンが尋ねるとバルドは、息子と娘2人だと答えます。それと美しい奥方か。バルドがにこやかに話しかけると、バルドからは、ああ美人だった、と返ってきました。失礼した。バーリンは目を閉じて、静かに首を横に振りました。その後、世間話をしている暇はないぞ、とトーリンが話に加わるのですが、バーリンの対応はバルドが信用するに足るものでした。


ビルボの相手と対話する姿勢にも、機転と礼節、愛嬌が感じられます。それによって、前作ではゴラムの洞窟から生きて戻れました。今度も、なんとか竜から逃げ延びることができたのです。指輪の力もあります。ただ、どちらも相手に話し合う余地など全くなかったにもかかわらず、追いつめられた状況から時間を稼いで脱出できたのはすごいことです。


機転と礼節、そして愛嬌は、人間が多くの経験を通して身につけることのできるものだと思われます。自分の考えに固執することなく、人の言に耳を傾けることができるようになるのですから。