(①からつづいています)
ある夜、クラレンスの部屋をノックするシスターがいました。これをあなたに。昔、兄にもらったの、そう言って差し出したのは、花の形をした目覚まし時計です。“さっさと起きろ、ネボスケ!”と声をかけてくれる目覚ましは、起床時間の5時に合わせてありました。あなたのような人でも寂しいんじゃないかと思ったのだと、メアリー・ロバートはクラレンスに告げたのです。
ある出来事のために、クラレンスは修道院を追い出されそうになります。それに対して、二度とバカなまねはしないと約束し、こんなわたしでもやれることがあるはずだと、院長に訴えるクラレンスがいました。院長は彼女を許し、聖歌隊に入ることを命じたのです。
聖歌隊の練習に参加したクラレンスは、前指揮者の誤解もあって行きがかり上、新しい指揮者となり、歌の指導をすることになりました。バス、アルト、ソプラノ、それぞれのパートに、自分の音をよく覚えて、次はお互いの声に耳を澄まして、大切なことよ、それでハーモニーが生まれる、クラレンスは説明します。常識よ、と前指揮者の声です。メアリー・ラザラスはプロ級ですもの、クラレンスがすかさず返しました。元の指揮者への配慮も必要なのです。
(③につづきます)